こんにちは。
今日はJ-POWER(登記名:電源開発)の分析をします。
決算短信 | IRライブラリー | J-POWER(電源開発株式会社)
テーマは「資本回転率が低い原因は何か」です。
→投稿して気付きましたがテーマほほぼガン無視してました笑笑
電源開発は
・2050年までにカーボンニュートラル達成、
・30年までにCO2排出量30%削減(2017-19年の3ヵ年平均実績と比較)
を掲げています。
事業内容としては、
・再生可能エネルギー事業
・火力発電事業
・原子力発電事業
・海外事業
などがあります。
中でも再生可能エネルギー事業は70年ほどの歴史があるとのこと。
○業績
410日目
— モンエナ@企業分析 (@mon_ena1102) 2022年8月13日
電源開発株式会社(9513/電力)
第70期通期 #決算サマリー
○財務数値(日本基準)
売上高 9,091億円→1.1兆円(前年比+19.3%)
当期純利益 223億円→696億円(同+212.4%)
総資産額 2.8兆円→3.1兆円
純資産額 8,536億円→9,641億円
自己資本比率 28.5%→29.9%
増収増益です!
営業利益、経常利益もそれぞれ前年比+11.8%、+19.6%と好調です。
まずは好調な理由を探っていきましょう。
https://www.jpower.co.jp/news_release/pdf/kessan2022-4/all.pdf より
今回の業績のポイントは
・売上高(営業収益)は電力販売価格の上昇や卸電力取引市場から調達した電力の販売増により増加。
・それと同程度営業費用が増加。
・営業外収益は持分法による投資利益の大幅増加に伴い倍増。
と言ったところでしょうか。
キャッシュフロー計算書を見てみると
営業CFが+1,283億円に対して
投資CFが△1,788億円、財務CFが+840億円となっています。
投資CFの中身を見てみます。
大半が固定資産の取得に使われていることがわかります。
さらに減価償却費が前期964億円→当期969億円に対して
固定資産の取得による支出が
前期1,592億円→当期1,352億円
であることから積極的に設備投資を行っていると言えるでしょう。
特に当期は減価償却費の1.39倍の設備投資を行っています。
では今度は貸借対照表を見てみて、
どの設備に積極的に投資を行っているのかみてみます。
電力系の企業は発電の種類ごとに資産額をB/Sに載せているので面白いです。
まず発電設備の資産額の変化をみてみます。
水力発電 +1.0%
汽力発電 △5.1%
内燃力発電 △17.9%
新エネルギー等発電設備 △8.9%
発電設備の金額は増えていないどころかむしろ減っています。
電気事業固定資産全体で△2.7%、金額にして△304億円です。
ではB/Sのどこが変化したのでしょう。
それは建設仮勘定です。
前期5,882億円→当期6,765億円で前期比+15.0%、金額にして+883億円です。
今まで建設仮勘定に注目したことがなかったので教科書をみてみます。
伊藤邦雄先生の「新・現代会計入門第4版」によると
建設仮勘定とは、制作途上の有形固定資産であり、いまだ営業活動には投入されていないものなので減価償却は必要としない。
とのことでした。
だいぶ昔にチラッとやったくらいの建設仮勘定がここで出てくるとは。。
電源開発の建設仮勘定は総資産のうち20%近くを占めます。
意外と大きいですね。
発電設備のような寿命の長いものは使用可能になるまで時間がかかるのでしょう。
今度電力系の会社を見たときは注目してみたいと思います。
○低い資本回転率
さて、せっかくの通期決算なので資本利益率の算定をしてみたいと思います。
前期ROA
=事業利益/総資本
=83,888百万円/2,841,960百万円
=2.95%
当期ROA
=事業利益/総資本
=104,880百万円/3,066,176百万円
=3.42%
というふうになっています。
ROAは二つの要素に分解することができます。
ROA=売上高事業利益率*総資本回転率
です。
前期ROA
=売上高事業利益率*総資本回転率
=9.23%*0.32
当期ROA
=売上高事業利益率*総資本回転率
=9.67%*0.35
です。
売上高利益率は比較的高いものの
総資本回転率は低いと言わざるを得ません。
https://www.jpower.co.jp/ir/pdf/rep2022/22_09.pdfより
電源開発の中期経営計画において23年度の経営目標は
・連結経常利益900億円以上
・連結自己資本比率30%以上
の2つを掲げています。
その後の25年度、30年度の目標は
発電量やCO2排出量削減などを掲げており
これは果たして経営目標なのかと疑問が残ります。笑
とりあえず23年度の経営目標が妥当なものなのか論じてみたいものの今日はここまでにします。
なんとなく電源開発のIR資料などを読んでいると
財務よりも技術に寄ってる感じがしますね。
企業それぞれで個性があって面白い、っていうまとめ方でいいんだろうか?
今日はここまで!