#547 関西電力第99期第3四半期

こんにちは。久々の更新です。

 

今日は関西電力の第3四半期決算を見ていきたいと思います。

 

 

○業績

会計期間は第99期第3四半期(22年10月~12月)です。

電力会社らしく自己資本比率はかなり低いです。

ただ他の電力会社では

・東京電力:22.8%

・九州電力:10.4

・東北電力10.5%

という感じなので特別低いというわけではないようです。

 

四半期決算を見たときに目につくのは

増収減益となっているところですね。

 

売上高が前年同期比+42.2%と大幅に増加しているにも関わらず

営業利益はマイナスとなっています。

 

ではいつも通り百分率損益計算書を作って

なぜ営業利益がマイナスとなったか分析してみます。

 

○損益計算書

 

前期 比率 当期 比率 増減額 増減率
売上高 1,949,771 100.0% 2,773,136 100.0% 823,365 42.2%
売上原価 -1,404,037 -72.0% -2,395,438 -86.4% -991,401 70.6%
売上総利益 545,734 28.0% 377,698 13.6% -168,036 -30.8%
販管費 -457,401 -23.5% -597,023 -21.5% -139,622 30.5%
営業利益 88,333 4.5% -219,325 -7.9% -307,658

-348.3%

 

ここから読み取れるのは

・売上高の上昇を上回る費用の増加によって赤字が発生している。

・売上総利益率も28.0%→13.6%と大幅に悪化。

・販管費の構成比は想定的に減少。

 

といったところでしょうか。

 



損益の変動要因をグラフにすると視覚的に理解することができます。

 

売上高の増加が8,233億円に対して

・売上原価+9,914億円

・販管費+1,396億円

となっています。

 

ではなぜ費用がこれほど増加したのか決算短信を見てみます。

 

第99期第3四半期決算短信 当四半期決算に関する定性的情報 より

 

これを読むと費用の増加は

・為替・燃料価格の影響や原子力利用率の低下などにより火力燃料費が増加したこと

・卸電力取引市場からの調達費用の増加などにより他社購入電力量が増加したことなどにより営業費用が増加したこと。

などが原因のようです。

 

○原子力利用率の低下

まず原子力利用率について調べてみると

前年同期の利用率は62.6%に対して当四半期は41.4%まで低下しています。

https://www.kepco.co.jp/ir/brief/earnings/2023/pdf/pdf2023_03_04.pdf

 

発受電実績のデータを見てみると

 

原子力が前年同期では37%、258億kWhだったのに対して

当四半期では170億kWhまで低下しています(△34.1%、△88億kWh)。

 

これにより発電量が低下していますがそれを火力で補うことがあまりできていません。

火力発電量は前年同期比で+5.9%、+19億kWhしか増加していません。

 

エリア需要は972億kWhに対して自社発電では627億kWh(64.5%)しか賄えていません。

そのため他社から電力を受け入れることで賄っています。

 

他社受電は234億kWhから369億kWh(前年同期比+57.3%、134億kWh)に増えています。

 

つまりコストの安い原子力発電による発電量が低下し、

それを補うため火力発電の発電量と他社からの受電を増やすことで電力を供給していることがわかります。

 

この原子力利用率の低下による損失の増加は590億円とされています。

22年度第3四半期決算説明資料より

 

それ以上に為替・燃料価格の変動影響、JEPX調達増の影響が大きいようです。

 

この2つについても深堀したいところですが永遠に記事を書き終えられないので今日はこれで終わりにします。

 

今日は決算説明資料などのデータからなぜ業績が悪化したのかを深堀して見ました。

このような分析をするためにはその会社のビジネスモデルや業界の特徴などを理解しないといけないので難しいですが面白そうです。

これからも決算説明資料などに目を通してみようと思います!

 

まとまりがありませんが今日はここまで!