#001 関西電力24年3月期第1四半期

こんにちは。お久しぶりです。5月ぶりの更新です。

 

これまで記事の材料は揃えつつも最後まで更新できず諦める、

ということが多々ありました。。。

 

とにかく書ききることを目標にやっていきたいと思います。

 

それでは関西電力の7月28日発表の四半期決算について解説していきたいと思います。

 

○サマリー(単位:百万円)

- 売上高767,567→966,593(前年同期比+25.9%)
- 営業利益△43,201→256,367
- 四半期利益△11,434→193,181
- 自己資本比率20.4%→23.0%(同2.6pt)

 

前年同期には営業利益、最終利益ともに赤字が出ていたものの

今期の業績は大幅に回復しているようです。

 

○経営成績

まずは業績が改善した原因を、百分率損益計算書を用いて

分析していきたいと思います。

 

単位:百万円 前期 比率 当期 比率 増減額 増減率
売上高 767,567 100.0% 966,593 100.0% 199,026 25.9%
売上原価 -635,773 -82.8% -540,681 -55.9% 95,092 -15.0%
売上総利益 131,794 17.2% 425,912 44.1% 294,118 223.2%
販管費 -174,995 -22.8% -169,544 -17.5% 5,451 -3.1%
営業利益 -43,201 -5.6% 256,368 26.5% 299,569 -693.4%

 

これを見てみると

・売上高が25.9%と大幅に増加している。

・それに加えて売上原価が15%も減少しているため売上総利益は3.2倍になっている。

・販管費は3.1%減少しているが業績に与える影響は軽微である。

 

ということが読み取れます。

 

グラフにしてみるとそれぞれが営業利益に与える影響の大きさが視覚的にわかると思います。

 

 

○売上高増加の原因

決算短信の説明を読むと

・小売販売電力量は需要数が増加したことなどから262億kWhと、前年同期比5.0%増加。

・収入面では、電灯電力料収入が増加したことなどから売上高が増加。

・支出面では原子力利用率の上昇により火力燃料費が減少したことなどから営業費用(≒売上原価)が減少。

 

と説明されています。

 

↓関西電力24年3月期第1四半期 決算短信

https://www.kepco.co.jp/ir/brief/disclosure/pdf/kaiji20230728_1.pdf

 

 

決算説明資料の主要データを見てみます。

 

 

総販売電力量の内訳を見てみると

電灯→△2億kWh

電力→+14奥kWh

他社販売→+4億kWh

となっています。

 

増収増益で好調のように見えますが電灯、つまり一般家庭の電力需要は落ちています。

 

この原因を深掘りすることは今回しませんが

電力自由化の影響を受けている可能性は否定できません。

 

ただこれは長期間の分析や新電力の販売数との比較などのデータがなければなんとも言えませんのでわかりません。

 

電灯に対して電力というのは事業所やビルなどの業務用の電気のことです。

 

業務用の需要量が伸びたことで総販売電力量が増加していることがわかります。

 

 

 

○営業費用減少の原因

 

関西電力は電力会社の中でも多くの原子力発電を有する企業です。

 

23年8月時点で日本国内で稼働している原子力発電所は11基。

 

そのうちの6基を関西電力の原発が占めます

(九州電力が4基、四国電力が1基)。

 

興味深いことに現在稼働中の原発の全てが西日本に位置しています。

日本の原子力発電所マップ 2023年版 | nippon.com

 

 

先ほどの決算説明資料の主要データでは原子力の利用率が前年同期の29.1%から78.3%に跳ね上がっていることがわかります。

 

関西電力は今年7月に高浜原発1号機の稼働を12年ぶりに再開しています。

 

これにより保有している7基(廃炉決定済みを除く)の原発のうち

6基を稼働させています。

 

しかも残るもう1基の高浜原発2号機も新規制基準に合格しており、

今年9月から再稼働予定です。

 

原発は現在、電源別の発電コストが最も低い電源となっています。

電源別発電コスト/比較と一覧l電力計画.com

 

つまり低コストで発電ができる原子力発電の稼働率を上げている関西電力は売上原価を低く抑えられるのです。

 

費用面に関しては今回深掘りするのを諦めました。

 

○まとめ

関西電力の24年第1四半期決算をまとめると

・売上高は事業用の電力需要が伸びたことなどから増加。

・費用は原子力利用率が大きく上昇し、火力発電による発電コストを削減できたことから減少。

・これにより営業利益、四半期利益ともに大きく改善。

 

という感じです。

 

家庭用の電力(電灯)の需要量が減っていることが多少気がかりではありますが

今年9月から新たに1基の原発が再稼働するということで業績はさらに伸びていくことと思われます。

 

今日はここまでです!