#202 コスモエネルギーホールディングス 第7期第2四半期

今日はサマリー202回目のコスモエネルギーホールディングス(株)を扱います。

石油に直接関係のある企業ですね。楽しみです。

コスモも2月10日に第3四半期の決算が発表されてしまったので少し古い情報になってしまいます。。

 

 

○財務数値(累計/日本基準)


売上高 9,693億円→1.1兆円(前年同期比+13.0%)

経常利益 65億円→949億円(同+1,355.0%)

四半期純利益 △9億円→519億円

総資産額 1.7兆円→1.8兆円(同+8.2%)

純資産額 4,491億円→4,979億円(同+10.9%)

自己資本比率 19.0%→20.1%(同+1.1%)

 

※第1四半期に「収益認識に関する会計基準」を適用。

 

売上高経常利益率は0.7%→8.7%と大幅に改善しています。

今日はキャッシュフローに注目して財務諸表分析を行ってみたいと思います。

 

まず重要な3要素である営業活動によるキャッシュフロー(営業CF)、投資活動によるキャッシュフロー(投資CF)、財務活動によるキャッシュフロー(財務CF)の正負を見てみます。

 

営業CF プラス→プラス

投資CF マイナス→マイナス

財務CF プラス→プラスです。

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視覚的に表すと見易いですね。

営業活動で稼いだキャッシュを投資に回している極めて健全な経営だと言えます。この四半期に限って言えば、ですが。

 

○安全性

今度は他の視点から、コスモには潤沢が資金があるのか、安全性分析をしてみたいと思います。

 

まずいくつかの財務指標を計算し、2四半期での推移を出します。

流動比率 80.5%→85.5%

当座比率 38.2%→38.5%

自己資本比率 19.0%→20.1%

固定比率 339.5%→296.5%

固定長期適合率 115.3%→113.0%

 

上がるべき指標は上がり、下がるべき指標は下がっているという感じです。

ただ、当座比率の低さ、自己資本比率の低さ、固定比率・固定長期適合率の高さをみるとあま

り安全性は高くないと言えます。正直業界平均や時系列データと比べないと判断しにくいですが。

特に固定長期適合率が100%を超えており、キャッシュの回収に時間のかかる固定資産への投

資を、返済期間の長いor返済義務のない自己資本固定負債だけで賄えていないことを意味し

ます。

 

○時系列分析

勢い余って(?)過去7年分の通期決算のデータを入力してしまったので収益性、効率性、安全性についてさらに細かく分析してみたいと思います。

第0期となっているのはコスモエネルギーグループがコスモ石油だった時代の第109期のことを指します。面倒なので第109期のことを0期と呼びたいと思います。

ちなみに今回の四半期決算はまだ第2四半期なので6期通期までのデータを使っています。ご注意ください。

 

まず収益性ですが、元々エクセルで作った収益性のグラフが、基準年(100%)である第0期がマイナスであるためプラスになった年の数値がマイナスになるという問題が生じてしまったので新しいものを作ってみました。

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ROE(自己資本利益率)は基本的に当期純利益を分子に計算するのですがこのエクセルでは経常利益を分子にしています。まあ大体数値は同じくらいになるとは思いますが。

このグラフを見てみるとROEの変化が大きいのが分かります。これは自己資本比率が低いためです。コスモの自己資本比率は一桁台~20%程度で推移しておりROEの計算では財務レバレッジが強く働くことになります。なので業績がいいときはROEが大きく、赤字の時はROEが大きなマイナスになります。それだけ投資家にとってリスクの大きい企業だとも言えます。

 

収益性自体は改善してきていると言えます。それでも売上高経常利益率4.36%はまだまだ低めですね。改善の余地があると思います。



 

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回転率は悪化気味です。これは資本の増加に比例して適切に売上高を増やせていないことが原因に挙げられます。おそらくセグメントごとの販売力などを見ないと売上が拡大していない原因はわからないので今日はスルーします。

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収益性のところで出てきた自己資本比率ですがここ数年で改善されていることが分かります。一桁台〜10%台前半だったのが第6期には19.01%まで改善しています。これでも低い方であるのは間違いありませんが。

自己資本比率が高まっているということは長期的な安全性を示す固定比率や固定長期適合率なども改善しているということです。と思って数値を見てみたら固定比率は改善されているものの固定長期適合率はむしろ悪化していました。固定比率が改善して固定長期適合率が悪化するということは、自己資本は増えているが固定負債が減るor流動負債が増えているということです。

実際に流動比率を見てみると第0期が102.93%だったのに対して第6期は80.51%になっています。

 

これらをまとめると自己資本比率の向上や固定比率の改善から、長期的には自己資本が拡大している点を評価できる。しかし固定比率はまだまだ高く、キャッシュ化に時間のかかる固定資産を返済の義務のない自己資本で賄えるよう更なる内部留保拡大を目指していくべき。

流動比率や手元流動性比率が悪化しており短期的な資金繰りは悪化している。

 

コスモがこれから目指すべき方向性としては

・資本のスリム化と売上の拡大を同時に進めること

・継続的に利益を上げることで自己資本をさらに厚くすること

・短期的な資金繰りを改善すること

の3つでしょうか。これをコスモの社員様がご覧になったらどう思うのか分かりませんが僕からは以上です。

5月には通期の決算が出るのでそこでまた詳しく見ていけたらと思います。