脱炭素社会の実現に向けてEUを筆頭に各国が様々な取り組みを行っていますが、目の前の経済活動などと両立することの難しさを感じますね。
とりわけEUの天然ガス価格は今年9月に入って急上昇しています。
EUの天然ガス指標価格のオランダTTFはここ1年でほぼ5倍に。国際エネルギー機関(IEA)は主要な輸出国であるロシアに供給量を増やすよう要求しました。この要求に対してロシアは拒否しました。ロシアとドイツを結ぶガスパイプライン「ノルドストリーム2」の欧州側の認可を急がせるためという見方もあります。ノルドストリーム2や、EUとロシアとの関係などに関しては別記事で扱ってみようと思います。
天然ガス価格高騰によりEUでは電力価格の高騰も発生しており危機的状況に陥っています。欧州はこれから寒い季節になり、ますます電力需要増加が見込まれる中で供給が逼迫するのではないかという懸念が広がっています。
英国ではここ10年間、風力発電を中心に再生可能エネルギーの導入を進めるとともに電力不足時のために石炭火力からガス火力への移行も進めてきました。英国は欧州大陸からのパイプラインガスと液化天然ガス(LNG)に依存してきましたがその欧州もロシアからの供給が減ったことでガス不足に陥っています。最後の頼みとなるLNGもアジアではすでに春先の4倍まで急騰している上、アメリカのシェールガス設備がハリケーンで被災したことで米国のガス価格も高騰中です。世界ではガス不足とLNG争奪戦が起きています。