船の脱炭素化

脱炭素社会の実現に向けた取り組みの一環として「船の脱炭素化」が進んでいます。

 

船舶は通常、重油を燃料として使っていますが、環境負荷の比較的小さい液化天然ガス(LNG)を燃料としてLNG燃料船の導入機運が高まっています。

 

 

 日本の海運企業においては日本郵船商船三井が、株式会社新来島どっくおよび日本シップヤード株式会社とLNG燃料船の建造についての契約をしています。さらに川崎汽船新来島どっくと日本シップヤードに加えて中国の造船会社である招商局南京金陵船舶からも調達します。

新たに建造する燃料船は日本郵船は12隻、商船三井は4隻、川崎汽船は8隻です。

 

いずれも最大積載自動車台数が7,000台ほどで船の大きさは同程度です。

 

三社ともLNG燃料船はカーボンニュートラルに向けた橋渡し的な存在として捉えており、将来的にはより環境負荷の小さい水素やアンモニアを船舶用燃料とするゼロエミッション船の導入を目指しています。

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現在、IMO(国際海事機関)によるSOx(硫黄酸化物)規制により、大半が低硫黄の重油を使用していますが、低硫黄の重油ではCO2排出量は変化しないので脱炭素を進める上では問題です。

 

そこで、燃やしても硫黄酸化物やPM(粒子状物質)をほとんど排出せず、NOx(窒素酸化物)やCO2の排出が他の化石燃料と比べて少ないLNGが注目されています。さらにLNGは比較的安全性の高いエネルギーでもある上、石油以上の埋蔵量が確認されており、安定供給が可能です。

 

LNG燃料船は世界的に見ると、2010年に竣工済みが18隻だったのが、20年に就航中が175隻、発注済みが200隻を超えるまでに急増しています。

 

環境にも優しく、安定供給ができるLNGですがデメリットもあります。

1.LNG燃料を使用できるエンジンの搭載

2.従来の2~3倍の大きさの燃料タンクや再液化装置などエンジン以外の設備投資も必要

3.新造時の価格が従来の燃料船に比べ15-30%増

 

しかしながら上記のデメリットに比べてメリットが大きいため今後普及していくことが予想されます。

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海運業界ではこれまで使用されてきた重油から、LNGのように環境への負荷が小さい燃料への移行を進めていますがこれだけではCO2排出量を重油比で25%程度しか削減できず、これではカーボンニュートラルを達成できません。

 

次なる一手として日本郵船は、英国の国際石油資本であるBPと提携して、さらなるCO2排出量削減のために船の次世代燃料として期待されるアンモニアや水素の開発などで協力することを9月15日に発表しました。

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同じく日本郵船はこの1週間ほど前に、最初はLNGを燃料としながら将来的に燃料をアンモニアに切り替えられる船舶の開発をフィンランドの船舶技術コンサルタント、エロマティックと共同で始めました。

これにより将来的にアンモニアを燃料とする際も新たに専用船を建造する必要がなくなります。

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国内のアンモニア船の建造に関しては造船国内最大手の今治造船が動き出しています。

現在アンモニア燃料船はまだなく、欧米の海事機関と連携してアンモニア運用のルール作成を行います。環境技術の開発だけでなくルール作りにまで関与することでシェア7割を占める中韓勢に対し巻き返しを図ります。

 

国際エネルギー機関(IEA)によると、2050年の船舶燃料の使用量はアンモニアが46%を占め、水素の16%を上回ります。アンモニアはこれからますます注目されていくでしょう。

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このように海運業界において脱炭素化の取り組みが加速しています。

日本企業がこれから世界をリードしていけるかどうか注目したいですね。