今日も電力会社の分析をしていこうと思います。
中部電力を扱います。
○財務数値(累計/日本基準)
第97期第3四半期→第98期第3四半期
売上高 2.1兆円→1.8兆円(前年同期比△13.5%)
経常利益 1,914億円→△51億円
四半期純利益 1,566億円→△131億円
総資産額 5.7兆円→6.1兆円(同+7.3%)
純資産額 2.1兆円→2.1兆円(同+1.0%)
自己資本比率 35.7%→33.1%(同△2.6%)
減収減益です。しかも赤字が出ています。
今日は収益性低下の原因を探っていこうかなと思います。
前回北海道電力を分析しましたが北電も九電も売上高純利益率が下がっていることがわかりました。
○資本利益率の分析
まずは北海道電力の時と同じようにROEの算定をした後、2四半期の時系列分析、競合他社との比較分析を行います。
第97期第3四半期→第98期第3四半期(単位:百万円)
売上高 2,112,573→1,826,894
当期純利益 156,657→△13,142
総資本 5,686,348→6,098,624
自己資本 2,031,165→2,018,178
ROE=当期純利益/自己資本
前年同期:7.42%、当期:△0.72%
次はROEを3要素に分解してみます。
ROE=売上高純利益率*総資本回転率*財務レバレッジ
前期ROE=7.42%*0.37*2.80=7.69%
当期ROE=△0.72%*0.300*3.02=△0.65%
まあどう考えてもROEが悪化したのは売上高純利益率がマイナスになったからですね。
前回の北海道電力の記事を用いて北海道電力、九州電力、中部電力3社の2期間の資本利益率を並べてみると
ROE=売上高純利益率*総資本回転率*財務レバレッジ
・北海道電力
前期ROE=4.54%*0.20*7.20=6.54%
当期ROE=2.97%*0.22*7.23=4.72%
・九州電力
前期ROE=5.17%*0.21*7.86=8.53%
当期ROE=3.00%*0.23*7.85=5.42%
中部電力=
前期ROE=7.42%*0.37*2.80=7.69%
当期ROE=△0.72%*0.300*3.02=△0.65%
どこも総資本回転率や財務レバレッジが対して変わっていないものの売上高純利益率が下がっていることがわかります。業界全体に言えることなのかもしれませんね。
○売上高利益率分析
それでは次に中部電力の収益性低下の原因を探ってみたいと思います。
2期間の損益計算書を使って百分率損益計算書を作ってみたいと思います。
これは売上高を100%にしてそれぞれの収益や費用を%で表したものです。
前第3四半期→当第3四半期
営業収益 100.00 100.00
営業費用 94.70 100.10
(電気事業) 80.98 80.64
(その他事業) 13.71 19.46
営業利益 5.30 △0.10
営業外収益 4.55 0.88
営業外費用 7.88 1.06
経常利益 9.06 △0.28
特別利益 0.00 0.00
特別損失 0.00 0.31
税引前純利益 9.06 0.59
税金等 1.51 0.05
非支配株主利益 0.14 0.08
四半期純利益 7.42 0.72
見辛くてすみません。。
これをみてみると電気事業以外の営業費用が大きく増加しておりこれによってまず営業利益がマイナスになったことがわかります。本業の費用の比率はあまり変わっていません。むしろ金額にして2,376億円も減少しています。
前年同期と比べた金額の変化を調べてみると
売上高13.5%減少
電気事業営業費用13.9%減少
その他事業営業費用22.7%増加
やはりその他事業の営業費用が増加しています。
さらに営業外収益は前3Qの960億円から160億円に大きく減少しています。
項目をみてみると持分法による投資利益が前3Qで903億円あったのが当3Qでは24億円に激減しています。率にして97.3%の減少です。
これらをまとめると中部電力の収益性が低下した原因は
・本業以外の営業費用の増加
・持分法の投資利益の大幅減少
この2つに求めることができそうです。
今日はここまで。
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